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2018年11月20日火曜日

古流空手で回し蹴りを使わないわけ

 正確に言うと、全く使わないわけではありません。ただ、前蹴り・横蹴りに比べるとずいぶん影が薄いです。
 現代格闘技ではメジャーな回し蹴りが、伝統的な空手の型に、ほとんど出てこないのはなぜでしょうか?

・前蹴りと回し蹴りの違い

 一本足で立ち、片足を浮かせた状態から前蹴りをすることはできますね。
 では、回し蹴りは?

 難しいですよね。これは、重心と足の移動方向の関係です。

 重心から遠ざかるか、近づく力に関しては、体重そのものが支えになります。前蹴り・横蹴りは、重心からスタートして、外へ向かう一直線の動きなので、体重を支えにして、不安定な状態からも打ち出すことができます。引き戻すのも同様。

 それに対して、回し蹴りは回転です。
大重量の足を加速するためには、一度地面を蹴って、身体に回転力を蓄え、それを足に伝える必要があります。前蹴り、横蹴りよりも一手間増えるわけですね。
 また慣性の法則が働くため、一度回りだしたものは、回り続けようとします。地面を蹴って身体が回り始めれば、その回転によって次の動きは限定されます(例えば、図のように身体が左回りに回っているときに、左からの攻撃を出すのは、ほぼ不可能)。

 加速の時間が長い上に、行動が限定される。回し蹴りは、強力である反面、自由を失う技なのです。

 現代格闘技は一対一の戦いが基本なので、タイミングを選ぶことで、強力な武器になります(最強の回し蹴りを持つと言われるムエタイも、一対一の戦いで完成された格闘技)。 しかし、多数が相手の乱戦を想定すると、動きを予測されやすい技を使いにくかったのではないでしょうか。
 戦う環境が、技の構成に影響する例ですね。

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