広告

2018年11月29日木曜日

「踏ん張らない」の意味①

 最後は「踏ん張らない」です。
 踏ん張らないことには「地面を蹴って移動しない」と、「動作のときに踏ん張らない」という意味の2つがあるので、一つずつ説明します。
 まずは、「地面を蹴って移動しない」です。

 最初に断っておきますが、動くのに地面から力を受けることは必要です。足で地面を蹴ることに頼りすぎないという意味で考えて下さい。

 さて、剣道の打ち込みなど、後ろ足で床を蹴って飛び出すとします。
 この場合、身体がぐにゃぐにゃしていると床を蹴った力が逃げてしまうので、身体を固め、一つの塊として前に飛ばすことになります。

 この方法は、2つの意味で効率が悪いです。
 武術的な意味では、身体を固めることで、動き出しが読まれてしまうことです。また、全身が一塊になって動いていると、動きがシンプルになって予測しやすくなります。
 なるべく部分部分が違う速度で動いて、動きを読みにくくするほうが有利。

 もう一つ、物理的な意味では、足の負担が大きくなります。
 物理的には、重いものほど慣性(止まり続けようとする性質)が強くなります。身体を一つの塊として一気に加速するには、大きな力が必要になり、足の負担が大きくなるのです。治療家として言えば、このように足に頼りすぎて、膝を壊してしまう人が多いのが気にかかります。

 身体を前に進めるには、いくつもの方法があります。 
 剣道で言えば、剣を振り上げる反作用で重心軸を前に傾ければ前進しますね。
 他にも、前足を抜いて進む方法、全身を崩すように進める方法、左右の差し替えで一部を進める方法などがあります。足で蹴って移動することにとらわれると、そうしたバリエーションに気づきにくくなります。
 足で蹴って移動しないは、「足を使わない」という意味ではなく、多くの身体操作のバリエーションに目を向けるという意味でとってもらえたらと思います。

 さて「踏んばらない」では、もう一つの「動作のときに踏ん張らない」の方も重要です。次回は、その解説を。

0 件のコメント:

コメントを投稿