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2018年11月24日土曜日

「ねじらない」の意味

 私が学んだ甲野先生の松聲館では、「ねじらない、うねらない、踏ん張らない」ことを重視していました。

 ねじる、うねる(身体を波打たせる)、踏ん張る。どれも、大きな力を出そうとするときに、つい使ってしまいがちな動きです。
 当時は、それを使わない理由をぼんやりとしか理解していませんでしたが、今になってみると、どれも遅くならない、動きを読まれないための心得だとわかります。

・「ねじらない」の意味
 ねじらないと言っても、常に身体をまっすぐにしているわけではありません。ここで言う「ねじり」は、バネのように、力を溜めているねじりを指します。

 ねじることによってタメをつくり、大きな力を出す。パワー、スピードが必要なスポーツでは、普通の動作ですね。

 古武術でねじりを嫌うのは、時間差ができるからです。

 例えば、体幹をねじって動作するときには、下半身が先に動いて、上半身が遅れて動きますね。ねじりを見れば、そのあと上半身がどう動くかは、一見してわかります。パワーと引き換えに、時間の遅れと、動きの情報を相手に与えてしまうわけですね。

 また、こうして溜めた大きい力は、途中で変更が効きません。
 右拳を出すつもりで身体をねじったら、その力を左拳に使うわけにはいかないのです。剣術で、右から切り込む刀を、体捌きで左からの切り込みに変える技がありますが、こんな動作もねじって溜めた力では不可能。

 一般のスポーツでも、積極的にねじりを使うのは、野球やテニスなどの、相手と距離を置いて行う球技か、ゴルフのように自分のタイミングで動ける種目ですね。
 武術の場合には、ねじりのメリットよりもデメリットの方が大きいので、ねじりを嫌うのです。

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