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2019年10月10日木曜日

「中心から動く」の意味


 武術に限らず、運動は筋肉で骨格を動かすもの。
 しかし、人間の関節は、単体で強い力を出すのに不向きな構造になっています。

 図のように、関節を動かす筋肉がついているのは関節の根元。骨を一つのテコとして見ると、力点は関節に近く、作用点は骨の先端です。

 シーソーの原理でわかるように、先端の力は強く、根元の力は小さいもの。どんなに頑張っても、先端に伝えられるのは、筋肉の出す力の数分の一しかありません。

 では、どうやって大きな力を伝えるのか。
 一つ上、つまり体幹部側の関節を使うことで、関節の動きを助けます。 パターンは大きく分けて2つ。

①2つの関節を同じ方向に動かすことで、遠心力を利用する方法。

②逆方向に動かし、慣性を利用した回転で補助する方法。

 この動きに、本来の肘関節の力を加えることで、強い力を出すことができます。 さらに肩を体幹部の筋肉で…と連鎖させるなら、理論的には全身の力を手足に集中させることもできるはず。

 大事なことは、この関節を同じタイミングで使わないこと。①も②も、大きな関節と小さな関節を同時に使うと、小さな関節は負けてしまいます。

 中心が先に動いて、末端を後に使うことで、末端の負担を減らしてやれます。よく「中心から動け」というのは、単に体幹を使うという意味ではなく、こうしたタイミングをも含んでいるのです。

2019年1月7日月曜日

骨を斜めに使う…足では

 移動の話の続きです。
 前回、地面を蹴らずに移動するには、足の傾きを利用するという話を書きました。

 以前に書いた「骨を斜めに使う」は、足においても有効です。骨を斜めに使うことで、擬似的に、傾きを大きくすることができるのです。

 実際には、骨の上下にかかる力の位置を変えるのですが、力線が変わることで、足が傾いたのと同じ効果が出て、身体が前に進みます。
 メリットは、足の荷重を抜く(負荷をへらす)よりも小さな動作で、動きを開始できること。
 ちょっとしたコツの一つです。