「相手に力を出させない」話をしていますが、ちょっと脱線。
前回の、運動線のコントロールは、普通に関節技を掛ける場合にも有効なのです。
また、小手返しを例に取ります。
小手返しは、手首をきめるのが重要な技ですが、初心者だと受け手が頑張ってしまい、動かせなくなることがあります。これは、掛け手が手首の力を使って受け手の手首を曲げようとするときに、よく起こる現象。
手首と手首、同程度の力がぶつかって動かせなくなるのです。
そこで出てくるのが、運動線のコントロール。
掛け手は手首を動かさず、腕と肩を使って受け手の手首を中心とした円弧を構成します。
これは一種のテコの原理で、受け手の手首の関節に対して、掛け手は腕、肩の長さのテコにより有利になり、技がかかるというわけ。
運動線が不明瞭だと、技はかかりません。
そこで、受け手が技をかわすには腕・肩を動かして、掛け手の作る円弧を潰し、自分が掛け手より有利になる円弧を作るように動きます。
筋力で不利であっても、より有利な円弧を取れば勝てる。これが「力よりも技」と言われる技術の一端です。さらに、相手の脳や反射にまで働きかけることで、技術を高めることができる。
それが、技を追求する面白さなのです。
古武術の技法には、一見不思議に見えるものがあります。そんな技法も、脳の情報処理と、物理学の観点から解説すると、意外にわかりやすいもの。 甲野先生の松聲館で学んだ技法をもとに、日々の患者さんへの施術で気づいたことなどをまとめてゆきます。
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