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2022年12月21日水曜日

合気道での開手をどう考えるか

合気道や護身術では、手を掴まれた時に「手をしっかり開いて対処するように」と教えられます。

一般的には、手を開くことで手首が太くなり、相手がつかみにくくなるのが理由と言われています。

 私は、それに加えて腕の内外の動きにズレを生じさせ、相手の感覚を狂わせているのではないかと考えています。


 指を動かす筋肉の多くは、前腕部にあります。つかまれた状態で手を開くと、手首の甲側の筋肉が肘の方へ、掌側の筋肉が手先側へと、わずかに移動します。

 筋肉の移動は皮膚の中の話なので、ごく小さい動きなのですが、人間の感覚はそれを感じ取り、騙されてしまうのです。


 手首の甲側からつかまれている場合、軽く押し込みながら指を開くと、掌側の筋肉の移動が起こります。このとき、つかんでいる方では、握っている部分をすり抜けて腕が入ってくるような感覚が生じます。その一瞬、正確なつかみどころを見失って抑えが弱くなりますので、技が効きやすくなるのです。


ちなみに、指を一度に開くのではなく、順番に開くようにすると、親指側、小指側で違った効果が生じます。方向性のあるすり抜けが起こるので、試してみてください。


 この方法のコツは、動かし始めながらゆっくりと指を開くこと。開ききってから動くのでは、通常の効果しかありません。また、幅広く開くよりも、指先を反らす感じの方がやりやすいようです。

 なお、逆に握り込むことでも、すり抜けの錯覚は生じます。